Salesforce ではゲストユーザと呼ばれるユーザライセンス種別があります。
このユーザライセンスは、不特定多数の社外のユーザがログインなしにアクセスするサイト(例1)を構築する際に利用することが多いでしょう。
(例1. サービスや商品のヘルプページ等)
確かにゲストユーザは一定枠は無料で利用できます。
ただし、サイト構築の際は制限事項がある事も頭に入れておかないといけません。
ゲストユーザのライセンスの特徴
本記事を参照している方にはもはや説明不要だと思いますが、以下のような特徴があります。
force.com サイトにはゲストユーザライセンスが必要です。EE / UE 組織では最大 25 のサイトを作成することができます、したがって 25 人のゲストユーザーライセンスが必要です。
1. 各サイトには、ゲストユーザタイプというユーザタイプの特別なユーザがいます。
公式ヘルプ:Salesforce サイトのゲストユーザーの特徴
2. ゲストユーザは、パスワード、ロールがなく、プロファイルに API アクセス権を持ちません。
3. ログインすることができないか、クライアント側の API 呼び出しをすることができません (Apex コード内でのみ) 。
4. ゲストの閲覧のためのセッションはありません。
5. 各ゲストユーザ (サイト) は一意のプロファイルを持ちます (公開アクセス権の設定)。
6. これらのプロファイルは、標準オブジェクトでの参照/作成権限とカスタムオブジェクトに対する完全な CRUD を提供するゲストユーザーライセンスに関連付けられています。しかし、デフォルトでは CRUD は与えられません。システム管理者はそのフローに基づいて適切なレベルのアクセスを有効にする必要があります。
7. サイトで有効になっているオブジェクトの非公開共有をお勧めします。
8. ゲストユーザライセンスは、Force.com サイト以外の目的には使用できません。
9. ゲストユーザライセンスを持つカスタムプロファイルを、Changesets、Force.com IDE、ANT などのメタデータ API に追加することはできません。詳細については、「Guest Profiles Can Be Migrated and Created Through the Metadata API.」(英語) を参照してください。
Experience Cloud サイトを構築すると必ずゲストユーザプロファイルが作成されます。
ゲストユーザのライセンスの制限
まず、ゲストユーザのライセンス料金は原則無料です。
ログインが必要な Experience サイトを構築した際に、ゲストユーザ向けのライセンスは購入不要です。
その際は、Partner Community, Customer Community Plus, Customer Community 等のライセンスのみが必要です。
ただし、ゲストユーザには「月間ページビュー数」という制限が存在します。
年間でこのビュー数を超えていると、追加料金が発生するため注意が必要です。
ゲストユーザの月間ページビュー数の制限
以下の組織ライセンスによって異なります。
Enterprise Edition | 500,000 ページビュー数 / 月 |
Unlimited Edition | 1,000,000 ページビュー数 / 月 |
このページビュー数は、年間のページビュー数を超えた時点で制限対象となります。
例えば EE 組織にて、とある月に500,000 ページビュー数を超えても、年間の 500,000 * 12 に達してなければ問題ないというわけです。
公式ヘルプは以下の「ゲストユーザはライセンスに含まれますか?」章です。
月間ページビュー数の数え方
EE / UE 組織では最大25のサイトが作成できます。
月間ページビュー数は、その各サイトのゲストユーザアクセスの合算です。
例えば、EE組織で5サイトがあり、それぞれで 100,000ビュー以上であれば制限を超えてしまいます。

大量アクセスが想定されるサイトの構築時には、他のサイトに影響がないか、既に大量アクセスが見込まれるサイトが存在するかも考慮に入れておく必要があります。
一方、ページビューとしてカウントされないURLもあります。
以下の公式ヘルプに記載があるため、ご参照ください。
その他:ゲストユーザのセキュリティ
過去に、ゲストユーザの不適切なセキュリティ設定によって情報漏洩に発展した事例がありました。
不特定多数のユーザに公開するコンテンツを持つエクスペリエンスサイトを実装する際は、セキュリティ面でも注意が必要です。
おわりに
Salesforce のライセンスは非常に複雑です。
また、すべてのヘルプページを読み込むのも現実的には難しいです。
サイト構築の際の考慮事項の一つとして、この記事がお役に立てれば幸いです。
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