この記事では、 「 IPA の機能要件の合意形成ガイド(ver.1.0)」 に基づいて、 帳票一覧 の作成方法について簡易的に解説します。
IT プロジェクトにおいてはドキュメント作成が必要不可欠です。
アジャイル型開発の場合であっても、最低限のドキュメントは最終的に作成する必要があります。
帳票一覧とは
「帳票一覧」とは、当該システムが作成する帳票を一覧形式にまとめたものである。 (出典:IPA 機能要件の合意形成ガイド(ver.1.0))
そもそも帳票とは、会社や組織で使用される公式な書類の一種で、データや情報を整理して報告、記録、分析するために用いられます。
具体的には、請求書、受領書、報告書、予算表、給与明細書などさまざまな文書があります。
これらをシステムで作成する場合に、一覧形式でまとめたドキュメントが帳票一覧です。
帳票一覧で管理すべき情報
同様に、IPA 機能要件の合意形成ガイド(ver.1.0) に基づくと、以下の内容がドキュメント上で管理されるべきとしています。
- 帳票の名称:帳票を識別可能な名称、識別子
- 帳票を利用する主な業務と利用者
- 帳票の分類、出力様式、出力制約、改ページ条件
- 帳票の出力タイミング
- 帳票の作成方式と印刷機器
共通項目
以下の項目は 帳票一覧 に限らず、各ドキュメントで共通で記載する内容です。 (IPA 機能要件の合意形成ガイド(ver.1.0) に基づく)
- プロジェクト名
- システム名
- 工程名
- ドキュメントID
- ドキュメント名
- 作成者
- 作成日付
- バージョン
- 更新者
- 更新日付
標準要素
以下の項目が 帳票一覧 で管理されるべき一般的な項目群です。 (IPA 機能要件の合意形成ガイド(ver.1.0) に基づく)
項目内容 | 項目内容の説明 |
---|---|
標準ID / 名称 | 標準を特定する識別子または名称を記述する。 |
出力タイミング | 当該標準の出力タイミングを記述する。 |
出力対象 | 当該標準の出力対象(汎用性、専用性、PDFなど)を記述する。 |
項目サイズ | 当該標準の項目サイズ上限値または記述する。 |
最低限この情報があれば、どのような帳票かを判断できるでしょう。
任意項目
以下の項目が 帳票一覧 で管理されるべき任意項目群です。 (IPA 機能要件の合意形成ガイド(ver.1.0) に基づく)
プロジェクトの内容やお客様の要望、システムや帳票の特徴に応じて記述内容は柔軟に変更・追加しましょう。
項目内容 | 項目内容の説明 |
---|---|
中規範利用業務 | 当該標準を利用する主な業務名をを記述する。 |
中規範サンプル機構 | 当該標準を出力する主なシステム機構名をを記述する。 |
中規範形式の識別 | 当該標準の形式(一覧表、詳細表、集計表など)の識別を記述する。 |
中規範データの作成方法 | 当該標準の作成方法(手動、オンデマンド)を記述する。 |
改ページ条件 | 当該標準の改ページ条件を記述する。 |
出力制約条件 | 当該標準の出力制約条件を記述する。 |
帳票一覧サンプル
帳票一覧 のサンプルデータを、標準項目と任意項目を含む形で作成してみます。 項目はプロジェクトに応じて適宜変えてください。
標準ID / 名称 | 出力タイミング | 出力対象 | 項目サイズ | 中規範利用業務 | 中規範サンプル機構 | 中規範形式の識別 | 中規範データの作成方法 | 改ページ条件 | 出力制約条件 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
INV-001 / 請求書 | 月末 | 全顧客 | A4 | 財務管理 | 請求処理システム | 一覧表 | 自動生成 | 顧客ごと | プリンタ設定必須 |
RPT-002 / 売上報告書 | 売上確定後すぐ | 営業部門 | A4 | 営業管理 | 売上管理システム | 詳細表 | 手動入力 | 部門ごと | 高解像度印刷 |
SAL-003 / 給与明細 | 毎月20日 | 従業員 | A5 | 人事部門 | 給与計算システム | 集計表 | 自動生成 | 1ページに10名 | 機密保持 |
BGT-004 / 予算計画表 | 年度初め | 経営層 | A3 | 経理部門 | 予算管理システム | 集計表 | 手動入力 | 各部門ごと | なし |
ORD-005 / 注文書 | 注文受付時 | 営業部門、顧客 | A4 | 営業管理 | 注文管理システム | 一覧表 | 自動生成 | 商品ごと | なし |
おわりに
ドキュメントは属人的になってしまうことが多いので、組織としてテンプレートを用意して同じような品質になるようにしたいですね。
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